WebサイトリニューアルのRFP作成について、前回は、WebサイトリニューアルRFPの3つのパターンを中心に話しました。

今回からは、RFPの具体的な記載内容にフォーカスします。

前回の記事にも記載しましたが、今回お伝えするのは「CMS」を使用したWebサイトリニューアルのRFPについてです。

システム構築案件であれば機能要件が網羅されたRFPを用意するべきですし、キャンペーンサイトやLPサイトなど小規模、非CMS案件であればスピード感重視で簡易的な内容でRFPを伝えてしまったほうが良いです。(とはいえ口頭はトラブルの元なのでやめましょう)

「CMSやそれに関連したシステムは構築するけど、どのようなWebサイトサイトにすべきか定まってない。」

CMSを使用したWebサイトリニューアルの多くの場合に当てはまるであろう、このような案件でのRFP項目について具体的に説明します。

ズバリ、RFPに「必須」の項目としては、以下の3点です。

100ページを超えるRFPで、これらが具体的に書いていないRFPを作るくらいなら、この3点を1ページに3行でまとめてもらったほうが、提案する側としてはよっぽど前に進みます。それ程これらの項目は大事ですし、発注する側であるクライアントの意思表示でもあります。

それでは、3点について、少し具体的に見ていきましょう。

Webサイトリニューアルで成し得たいことであり、最も重要な項目です。大変な社内調整を経てこのリニューアルプロジェクトを立ち上げるに至った経緯や背景をつらつらと書きたくなる気持ちは分かりますが、シンプルに「目的・目標」を記載してもらえば結構です。

ポイントは、「具体的、かつ定量的な数値の目標が望ましい」ということです。

具体的な目標数値があると、提案する側も具体的な提案がしやすくなります。

例えば、ECサイトの売上額を1年ではなく「1ヶ月」で200%にするとなると、提案する側の施策も変わってきますよね。まずは広告への予算投下で集客を高める施策など、短期的な施策を優先的に行い、その後CMSなどシステム化を進める、といった具合に…。

「ブランド価値向上」や「お客さま満足度向上」などの定性的な成果目標も、可能な限り定量的に測定できる形にすることが望ましいです。

定量的に測定できる数値とは、ブランド評価企業によるランキング数値や、ユーザーへのアンケート数値などです。間違っても良いので、「これくらいの数値を目指したい」というものを記載してください。この数値は、ある意味上司や会社に対して、皆さんが「これくらいの成果をコミットします」という意思表示でもあります。

いまだに、費用や期間を明記しないRFP(やオファー)が多数あります。

また、このような依頼は、提案側からすると、正直勘弁してもらいたいです。
モノづくりをお願いするのに、「いくらで」「いつまで」ということを伝えずに何を提案しろというのでしょうか…。

このような形でスタートしたコンペは、最終的な選定に至らなかったり、コンペ自体が遅延してしまうなど混迷することが多いです。そして、このようなコンペの多くは、10社など多数の会社に声掛けをしている場合が多いです。

それぞれの会社から、納期も費用もバラバラな自由な提案が多数集まってきます。それを皆さん公平に選定できるでしょうか?難しいと思います。

プロジェクトをスタートさせるためにも、スケジュールと予算は必ず明確化してください。

予算のポイントは、「イニシャルコスト」「ランニングコスト」に加え、「改修コスト」を明示することです。

CMSツールは、ライセンス費用やシステム保守費用など、ライセンス費用が発生することがほとんどです。Webサイトのリニューアルではイニシャルコストに意識がいきますが、ランニングコストも少なくない金額になりますので、予算化しておくべきです。

また、近年多くなっているのが、「改修コスト」です。公開後、PDCAを回して常に改善策を検討するような進め方をする場合、CMSの機能を追加したり、既存機能を改修する必要性が多数出てきます。保守の費用では賄えないことも多いため、改修にかける費用を見越しておくことをお勧めします。

スケジュール・予算と関連する部分もありますが、どの部分が対象範囲になるのか(対象範囲として考えているのか)を事前に伝えてもらうと、スケジュールやコストの算出がしやすくなります。

詳細な範囲の定義をこの時点で決めるのが難しい場合、以下の2点について明確にしてもらえれば十分です。

複数ドメインを持っている場合は、そのどこまでが対象範囲になるのか。同じドメインだと思っていたけど、実は途中でドメインも変わっていて、サーバも別のところ、といったこともよくあります。

見積りやコストに大きく影響する箇所の一つに、CMS外の機能部分があります。これは、ASPを利用するにしても、スクラッチで開発するにしても大きな工数がCMSとは別に発生することが多いです。

さまざまな機能はあれ、Webサイトリニューアルでよくあるのが、「検索」「連携」「フォーム」です。

「検索」については、何か条件を選択したら商品が出てくる商品検索や、キーワードを入力したら該当ページが出てくるサイト内検索など、多くのサイトで実装されている機能なので当たり前のように見えますが、検索機能を開発する場合は多くの工数が必要になります。

「連携」については、自社の商品マスタと連携して、自動的に商品ページを生成している、顧客マスタと連携してコンテンツを出しわけている、など異なるシステム間で連携させるシステムを用意する必要がある場合です。こちらも検索同様、多くの工数が必要になります。

「フォーム」については、問い合わせフォームや資料請求フォームなどをASP利用とするか、スクラッチで構築とするかによっても大きく変わってきます。スクラッチの場合は、個人情報の格納場所についても十分な検討や追加コストが必要になる場合があります。

RFP必須3項目だけいただければ、弊社は提案することが可能です。

ただし、提案を進めていくなかで、いくつか質問させていただくことになります。
それは、現状に関するデータを教えてくださいということです。

そしておそらく、弊社以外のコンペ対象会社からも同様の問い合わせを受けることになるかと思います。

コンペ中に複数の企業からの個別の問い合わせに対応するのは大変です。あらかじめ、こういったデータを提示しておけば、よりスムーズに提案やコンペが進みます。

具体的には、以下の8点です。

自分ですべて揃えるのが難しい場合、情報システム部など関連部署に協力してもらいデータを用意すると良いでしょう。多少古い状態でも構いませんが、できるだけ詳細に記載されている資料があれば、それを送付してください。

これらの現状データをRFPの必須3項目とセットで送れば、不毛な問い合わせ対応からも解放され、良質な提案を各社から受けられることになるでしょう。

では、UIやUX、デザインやコーディングに関する要件などはどこに記載すればよいのか?という方のために、次回は個別要望をRFPにどう書くべきか、について説明していきます。

また、キノトロープでは、RFPの書き方に関する無料のセミナーも実施しています。
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