記事コンテンツを誰でも簡単にスピーディーに、かつ誰が作成しても品質を保てるような更新パッケージ構築で成功したソリューション事例を紹介します。

ある情報通信機器メーカー様では、更新や取り下げが必要な情報を精査した上でコンテンツの比重を「モノ(製品情報)」中心から「コト(使い方や提案)」中心にシフトし、 1年後にはリニューアル前のページビュー(PV)から倍近くまで伸びました。

プロジェクト概要


業種

コンピュータ・通信機器・OA機器 家電・AV機器/半導体・電子部品・その他/通信/ソフトウェア

規模

約2,000ページ

期間

約1年半

POINT

課題


課題


コンテンツ作成の個別最適化、デザインの非統一


情報が古くなったコンテンツの精査と棚卸し


アナログ作業での運用効率が低い工程の自動化

提案


提案


CMSの統一とPIMの構築/連携


専門知識がなくてもコンテンツを容易に内製できる ブロックテンプレートのCMS組み込み


アクセス解析を行い、データを基準に掲載コンテンツを取捨選択

成果


成果


製品がもたらす豊かな時間を提案する記事コンテンツの拡充と更新頻度の向上


スマートフォン対応を含む、情報へのアクセス性強化


更新作業・運用効率とセキュリティの向上

背景/課題

10万ページ超の情報整理と一貫性、運用効率を高めるリニューアル

情報整理と一貫性、運用効率を高めるリニューアル

メーカーの公式Webサイトには、メーカーとしての製品情報提供と、Webサイトへの集客を高めるための記事コンテンツの両面が求められます。しかし、社内には記事コンテンツ作成のノウハウがない、使用している更新ツールにデザイン面の制限があったり社内では更新が困難だったりという状況から、ほとんどの作業を外注しているケースが多いのではないでしょうか。外注の場合、コンテンツを個別最適で作成するため、個々の完成度は高くとも、制作ルールやトーン&マナー (トンマナ)に一貫性が保てない上、費用と時間も多くかかることになります。そこで、このメーカー様では複数のCMS、多種多様なシステムに情報が分散していた状況を見直し、これらを1つのサイトに統合してリニューアルすることになりました。その上で、内製化によるコンテンツ充実を図っていくという方針です。

情報通信機器という製品の特性上、規格などの情報もアップデートしていかないと、ユーザーの課題に対応できない可能性も出てきます。そのためリニューアルにあたって、まずコンテンツを精査し、約10万あったページを2,000ページ程度に縮小することになりました。

また、製品仕様などの客観的な情報を表す「モノ」コンテンツは、製品が販売されている他のサイトでも見られるため、メーカー公式サイトとしては“製品を用いることで得られる豊かな生活や未来”を想起できる「コト」にあたる、記事コンテンツを拡充していく方針も打ち出されました。製品の使い方、製品にまつわる技術、用語や規格の説明のほか、複数の製品の組み合わせも紹介し、アップセルやクロスセルにもつなげたいという判断です。コンテンツ量自体は豊富にあり、記事コンテンツのPVはリニューアル以前から伸びていたため、更新頻度を上げていくための仕組み作りが重要でした。

さらに、サイト運用を効率化するシステム面の見直しも必要でした。たとえば商品の仕様情報については、基幹システムにあるデータをもとに加工/修正したり、関連コンテンツと紐付けるといった作業がアナログに行われてきたため、これらを自動化するCMSへの機能追加や商品情報管理 (PIM) システムの構築です。

プロジェクトのポイントや工夫

記事コンテンツのアクセス状況を見極めて 集客力を高めるページ構成に

このプロジェクトでは、サイト更新担当部署のほか、CS部門や情報システム、経営企画部門などの代表者からなる10名ほどのプロジェクト専門チームを立ち上げました。はじめに調査、企画、要件定義を行い、サイトのコンセプトについて徹底的に議論しました。特に、会社として何を訴求するかを明確にするため数か月議論と調整を重ねたのが、トップページに何を置くかということです。また、もともとPC用にデザインされたページをスマートフォンでも読めるようにしていたものを、スマートフォンに最適化したデザインに刷新。通信機器のトラブルなどの際、FAQなどに素早くアクセスしたいというニーズが大きく、現在ではスマートフォンからのアクセスが6、7割を占めるようになっています。

各種データを元にコンテンツを整理

さらに記事コンテンツについては、アクセスのある/なしを計測した上で、古い内容は削除するなど棚卸しを含めた作業を入念に行いました。まず、バラバラに作られた記事コンテンツをすべて洗い出しました。 記事ページだけでも数百以上あったので、必要可否の判断やテンプレート化を整理しました。その上で、各記事について、以下のような数値を洗い出して分析を実施しました。

など

検索エンジンから直接来ている数値が高いということは、検索ニーズが多く、集客力があるページといえます。でもそこから直帰率が高ければ、ページ内導線やコンテンツ内容・配置に問題があるかも、といった具合に分析を進めました。数値から判断して不要なコンテンツは削除する一方、残すものは、上記の数値から判断した効果的なテンプレートを設計しました。探したい内容がサイト内検索でしっかりヒットするかなど、誘導の見地から整備することも重要です。

ブロックテンプレートイメージ

また、汎用的なパーツを自由に積み上げ、レイアウトも変更可能な独自システム「ブロックテンプレート」をCMSに組み込みました。このシステムはキノトロープが独自に開発したもので、今回採用した有償CMSから公式アドオンとして一般提供されています。ブロックテンプレートを使用する際、HTMLタグなどの専門知識は一切不要です。テキスト等を入力したり、用意した写真を選択するだけで、デザインとして完成した記事ページを作ることができます。

ブロックテンプレートを使用するメリットは、以下のように多岐にわたります。

など

成果

システムによる自動化・効率化を進め 内製化とコンテンツ品質の向上を実現

約1年半で構成、運用体制を含めてリニューアルを実施しました。以前は部署によって異なっていたシステムを単一のCMSに統合し、新たに構築したPIMシステムとシームレスに連携することで運用効率を向上。この連携により、商品ページの生成や関連記事との紐付けも自動化しました。その他の外部システムも精査し、セキュリティ面も強化されたことで、向こう10年は使用できる基盤システムとなっています。

また、以前はそれぞれの部署が外部に委託していたデザインも、ブロックテンプレートを活用して統一したほか、 図版もトンマナを合わせて作り直しました。このような統一により、デザインはシンプルになりましたが、リニューアル後のPVは倍近くまで伸びています。

コンテンツ生成が自動化/効率化され、更新作業が格段に軽減された分、コンテンツの企画に充てられる時間は増えています。製品を使うことで得られる豊かな時間をイメージできる記事コンテンツの拡充、更新頻度が上がったことは、PVの伸長に大きく貢献しています。

メッセージ

高品質でスピーディーな記事コンテンツ内製化をパッケージで実現

日々更新するコンテンツは、サイトの役割や目的、コンセプトを基準に何を掲載するべきかを考えるところから始まります。

今回のプロジェクトでは、10万ページあったコンテンツを分析し、ロングテールでアクセス数には貢献していても情報が古くユーザーに不利益を与えかねないページは閉じるなど、データ分析に基づく取捨選択をしっかりと行いました。ページ数は大幅削減となりましたが、PVは1年で倍近くまで伸びました。明確な目的のあるコンテンツをきちんと企画、制作することが可能になった結果です。

コンテンツマーケティングに注目が集まっていますが、有意義なコンテンツを作ることに注力できるか。そのために他の部分を効果的に動かせるシステムをいかに構築するか。これらすべての拠り所となるコンセプトをしっかり固めることができるか。このような思想のもと、 上流工程から一緒に取り組めるパートナーを選定し、深く議論することが重要です。

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